商品比較と口コミ・レビュー |
過熱水蒸気とは
電子レンジが普及して約30年、オーブンレンジが普及して約10年、
昨今のレンジには「過熱水蒸気調理」という機能が付きはじめています。
「過熱水蒸気」とは、300℃以上の超高温の水蒸気を食材に吹き付けることで調理する加熱方法で、
まさに「水で焼く」調理です。
天ぷらやフライの揚げ物は、170~180℃に熱した油で調理するのに対して、
水も300度を超える高温水蒸気に加熱することで揚げ物調理ができるのは道理ではあります。
キーワードはヘルシーです。
「水で焼く」ため、油が落ちてヘルシーな料理ができるといったもの。
また、最近は無酸素で調理できるために、ビタミンを多く残せるとも言います。
技術的な難易度は解りかねますが、
今では主なメーカー全てが「加熱水蒸気調理」の機能がついてオーブンレンジを販売しており、
「ウォーターオーブン」や、「ナノスチーム」など様々な呼称で宣伝されています。
気を付けなければいけないのは、
加熱水蒸気ではなく、100℃の水蒸気を出すだけのオーブンも一部のメーカー・販売店では
「ウォーターオーブン」と称しているので、取り違えには用心が必要です。
「スチームレンジ」として売られているレンジも単なる水蒸気レンジです。
ご存知のとおり水は100℃で沸騰して水蒸気になりますが、
100℃の水蒸気を発生させるだけでは、蒸し料理が調理できるだけです。
沸騰温度100℃の普通の水蒸気を食材に当てることで庫内を加湿するので、
ご飯がラップ無しで温められ、茶碗蒸しも調理できます。
しかし、当然ながら沸騰した100℃では「水で焼く」ことはできないため、
普通の電子レンジに水差しを入れたのと大差無いとも言えます。
新しい機能としての加熱水蒸気調理とは、
300~400℃の非常に高い温度の水蒸気が出せることで可能になる新しい調理方法なのです。
元祖ウォーターオーブン
「過熱水蒸気調理」の機能は、
宣伝上手なシャープが先行して「ヘルシオ」を発売し、成功を収めたため、
ウォーターオーブンレンジと言えばヘルシオというブランド信仰は相当な浸透力があり、
世間では多くの主婦を虜にしています。
実はウォーターオーブンレンジがメーカー各社から発売されて既に数年が経過しています。
丹念に見比べれば、各社それぞれが独特の機能を付加して、特徴を出すのに躍起となっており、
価格もかなり安くなってきました。当初は20万円を超えていましたが、現在では10万円以下で、
時には5万円前後でも購入が可能です。
しかし、ヘルシオ信仰の恩恵があるシャープだけが、突出して価格が高いようです。
機能性に決定的な差は無いのですが、最初に発売したメーカーへの信頼度は高いものです。
私の友人がヘルシオ信仰そのままにシャープを購入し、失敗したとのこと。
感想は、「販売価格が数段高い」のに、
全体の寸法は巨大なのに「調理スペースが狭い」、
「鶏肉を焼いても皮はパリッとしない」のでもう一度オーブン調理の手間がかかるのだそうです。
割安な日立
ところで、加熱水蒸気を用いた調理器具を最初に開発したのは、
シャープではなく日立です。
日本で一番多くの工学博士を社員にもつ日立は基礎技術に優れるものの、
実際の商品への応用と消費者ニーズの汲み取りに疎いために、
ほとんど全ての家電製品においてマイナーシェアに甘んじている巨人です。
ウォーターオーブンレンジの加熱水蒸気調理についても、
開発、実用化に漕ぎ付けたものの商品化・販売に社内許可が降りなかったそうです。
その後、シャープからヘルシオが発売され、上記のような隆盛を極めていくわけです。
はたして、日立が世界初の商品化に先行していた場合でも
シャープほどにうまく市場開拓できたかどうかは極めて疑問ではありますが、
ウォーターオーブンレンジに関して日立が並々ならぬ対抗意識を持っている背景はココにあります。
なるほど、各社の加熱水蒸気のオーブンレンジに比べて、
庫内が広く、機能性が高く、かつ、販売店での価格が一段と安いのは日立が際立っているようです。
最高機種であるMRO-DV200では、
今だにヘルシオしか実現できなかたった、低酸素調理によるビタミンの保全調理機能まで付加されることになったのです。
加熱水蒸気の温度も他社が300℃であるのに、日立だけが400℃(吹出口)です。
我が家では、価格と機能のバランスが絶妙であったMRO-DV200(総庫内容量33L)を購入しました。
殆ど機能の変わらない旧機種 MRO-CV200でも安ければお勧めできますね。
MRO-DV200購入後の感想
付属レシピ
取扱説明書の後半に付属しているレシピは、貧相。 このあたりは、三菱電機や、辻調理師専門学校と提携して別冊が添付されるナショナルが魅力的です。 このあたりは重厚長大会社の典型である日立の真骨頂でしょう。鳥肉のハーブ焼き
大手量販店店頭でよく見かけるSharpのヘルシオのデモでも 加熱水蒸気調理のメリットを最も実感し易い料理で、確実に美味しいのです。 油を落としてヘルシーな料理にも係わらず美味なので、他のレンジとの最も違いが顕著に出ます。 通常のオーブンもしくはガスコンロでは焦げる可能性が高いのでしょうが、 加熱水蒸気調理だと皮がパリパリのご馳走が失敗なく確実にできるのです。 それも自動メニューに入っているので、失敗はありません。(水抜きを怠り無ければ。) 鶏肉でも十分にオモテナシ料理として通用し、オーブン自慢にもなります。 但し、当然ながら格別な食感なのは仕上直後だけで、 残りものとなった場合は単なる鳥となるのでご注意下さい。焼き芋
全自動で仕上がってくれるので手が離せるのが一番助かります。 何より失敗(炭化)が無いので、食材が無駄になることが無いのです。 定番のおやつとしてのサツマイモだけでなく、 料理の付合せとして、ジャガイモを焼いても美味しくできました。 どちらも洗って、皮ごと焼くだけで、立派な一品になります。焼き野菜
メーカー各社から加熱水蒸気のラインナップが揃いながら、 Sharpのヘルシオしかできなかった無酸素調理です。 食材と酸素との接触を最小化することで素材のビタミン破壊を最小化できるそうで、 Sharp以外では初めて日立が採用しました。 日立の実売最安値での機能採用は高く評価すべきでしょう。 我が家の食卓に焼き野菜をよく出るようになりました。惣菜フライ
決して贅沢な食卓とは言えないものの、 成り行き上、揚げ物、フライモノの惣菜を買った食事となる場合もあるものです。 今までは、電子レンジでは、ふやけてしまい、 ガスで焼くとバリバリになってしまい、一層の悲壮感を増幅させるメニューでした。 しかし、ウォーターオーブンレンジの加熱水蒸気で温めると、 コロッケ、トンカツ、エビフライを初めとする揚げ物、フライモノが まさに揚げたてに近い状態に再生され、加熱水蒸気の威力を発揮するのがと言えます。 まさに揚げたての様子で、外はパリパリで中はホッコリ。 もちろん買ってきたモノ以上に美味しくなることはないのですが、 殆どのフライ物は揚げた直後は美味しいのです。 高熱水蒸気で温めたフライは余分な油が落ちるので、メタボリックの予防にも寄与します。 受け皿に落ちた大量の油は贖罪の気持ちを慰めてくれるに十分な量が目視できます。不満な点
・取扱説明書には明記されているのですが、100g以下の調理が不得手です。
なお、重量センサーの感度が100g以下では鈍いのでしょうか、
少量のご飯や飲み物の「暖め」を自動でやると、熱くなり過ぎることがあります。
・加熱水蒸気調理の調子が悪い=パリパリ感が少ないと感じたら、「水抜き」なる作業が必要になります。
実は、調子が悪いので故障を疑ったのですが、取扱説明書を再読すると
「加熱水蒸気による調理のあとは必ず水抜きが必要」と記してありました。
給水タンクを外して、お手入れボタンを押すだけで、自動的に3分間の空焼きをしてくれるだけの簡単な手入れなのですが、
知らないと「故障か」と勘違いするに十分です。
知らずに、もしくは気付かないで、加熱水蒸気が出てないのでは?と、悩んでいる方はお試しを!
総合的に判断して、過熱水蒸気調理のできるウォーターオーブンレンジは非常に重宝しています。
永く、しかも毎日使う家電なので、機能に妥協せずに満足いく機種を選定して、
価格が有利になるタイミングを研究するのがよいと思います。